隣のゴミ屋敷が原因で、もはや我慢の限界。法的な手段に訴えることもやむを得ない。そう決意したとしても、いきなり弁護士に相談し、訴訟の準備を始めるのは得策ではありません。訴訟という最終手段に踏み切る前に、必ず踏んでおくべきステップがあり、それらを丁寧に行うことが、結果的に問題の早期解決や、訴訟を有利に進めるための布石となるのです。まず、第一に行うべきは「被害の客観的な記録」です。いつ、どのような被害があったのかを、具体的な日付と共に詳細な日記形式で記録し続けましょう。「〇月〇日、腐敗臭がひどく、一日中窓が開けられなかった」「〇月〇日、自宅の庭でネズミを目撃、隣家から侵入したと思われる」といった具体的な記述が重要です。そして、可能な限り「証拠写真や動画」を撮影してください。共用部分にまで溢れ出しているゴミの様子、自宅敷地内に侵入してきた害虫、ゴミが原因で汚れた外壁など、客観的な証拠は多ければ多いほど、後の交渉や訴訟において強力な武器となります。次に、これらの記録と証拠を持って、「公的機関への相談」を行います。まずは、アパートやマンションであれば大家さんや管理会社へ。一軒家であれば、自治体の環境課や保健所、地域包括支援センターなどに相談します。ここで重要なのは、相談した事実と、その際の行政の対応内容も、全て記録しておくことです。「〇月〇日、市役所の〇〇課の△△氏に相談。後日、指導を行うとの回答あり」。こうした記録は、行政が適切な対応を取らなかった場合の証拠にもなり得ます。これらの手順を踏むことで、問題の深刻さを客観的に証明し、まずは行政による解決を試みたという事実を作ることができます。それでもなお問題が解決しない場合に、初めて弁護士への相談、そして訴訟という選択肢が現実味を帯びてくるのです。感情的に訴えるのではなく、冷静に、そして戦略的に証拠を集め、段階を踏んで行動すること。それが、この困難な問題を乗り越えるための、賢明なアプローチです。
ゴミ屋敷の住人を訴える前にすべきこと