度重なる注意勧告にもかかわらず入居者がゴミ屋敷を改善しようとしない。他の入居者からの苦情も限界に達し建物の安全も脅かされている。このようなあらゆる手段を尽くしても解決に至らない場合、大家さんは最終手段としてその入居者を法的に「強制退去」させるための手続きに進むことを決断せざるを得ないかもしれません。この強制退去は法律に基づいた厳格な手順を踏んで進めなければなりません。大家さんの独断で鍵を交換したり荷物を運び出したりする「自力救済」は住居侵入などの罪に問われる違法行為であり絶対に許されません。まず最初に行うべきは弁護士などの法律の専門家への相談です。弁護士はこれまでの経緯や証拠を基に法的に契約解除が可能かどうかを判断し今後の手続きについて具体的なアドバイスをしてくれます。次に弁護士を通じて入居者に対し賃貸借契約の「契約解除通知」を送付します。これは通常「内容証明郵便」という郵便局が内容を証明してくれる形式で送られます。この通知には契約解除の理由(善管注意義務違反など)と一定の期限までに部屋を明け渡すよう明確に記載します。この通知によって入居者が任意に退去すれば問題は解決します。しかし期限を過ぎても入居者が退去しない場合はいよいよ裁判所に「建物明け渡し請求訴訟」を提起することになります。裁判ではこれまでに集めた証拠(写真、苦情の記録、注意勧告の控えなど)を基に契約解除の正当性を主張します。裁判で大家さんの主張が認められれば裁判所は入居者に対して建物の明け渡しを命じる「勝訴判決」を下します。それでもなお入居者が居座り続ける場合は最後に裁判所に対して「強制執行」の申し立てを行います。これにより裁判所の執行官が法的な権限をもって入居者を強制的に退去させ部屋の中の荷物を運び出すことができるのです。この一連のプロセスは数ヶ月から一年以上かかることもあります。強制退去は大家さんにとっても精神的、経済的に非常に重い負担を伴うまさに最後の手段なのです。
ゴミ屋敷の強制退去!大家さんが取るべき手順