長年、ゴミ屋敷清掃の現場責任者を務めてきたA氏は、最近の傾向として後払いを希望する依頼者が目に見えて増えていると語ります。「十年前は、ゴミ屋敷といえば溜め込んだ高齢者や、特殊な収集癖がある方の家が主流でした。しかし今は、ごく普通の会社員や、看護師、教師といった専門職の方からの依頼が圧倒的に増えています。彼らは社会的に孤立しているわけではなく、むしろ外ではバリバリ働いていますが、その反動で家がゴミ屋敷になってしまう。そして、彼らの多くがキャッシュレス生活を送っており、急な高額出費に対して、現金の用意ではなく、クレジットカードの分割やアプリによる後払いを希望されるのです」とA氏は分析します。A氏によれば、後払いという選択肢があることで、以前よりも「事態が末期症状になる前」に依頼が来るようになったという良い変化もあるそうです。「かつては、大家さんに訴えられる寸前まで追い詰められないと依頼が来ませんでしたが、今は『これ以上はまずい』と感じた段階で、予算がなくても後払いを使ってリセットしようとする賢明な方が増えました。これは、ゴミ屋敷が『恥』ではなく『メンタルヘルスの課題』として認識され始めた証拠でもあります」と彼は続けます。現場でのエピソードとして、後払いを利用して清掃を行った後、住人が転職に成功したり、疎遠だった家族と和解したりする姿を何度も見てきたA氏は、後払いの決済ボタンを押す行為は、住人にとって「未来への誓約」に近いものだと感じています。「我々にできるのはゴミを出すことだけですが、後払いという契約を通じて、お客様と未来を共有している感覚があります。最後のお支払いが完了したときにお礼のメールをいただくと、この仕事をやっていて本当に良かったと思いますね」と笑うA氏。現場の最前線に立つプロの目には、後払いは単なる便利さ以上に、現代人が抱える生きづらさを解消し、明日への希望を繋ぐための不可欠なツールとして映っています。ゴミ屋敷という闇を照らす光の一つとして、決済の柔軟性が果たす役割は、今後ますます大きくなっていくでしょう。
現場責任者に聞く後払い希望者の増加とゴミ屋敷問題の変遷