韓国においてゴミ屋敷問題は、急速な都市化と激しい競争社会の歪みが凝縮された形で現れています。特にソウルなどの大都市に林立する超高層マンション(アパート)において、外からは一切見えない室内がゴミで埋め尽くされているケースが急増しており、社会問題となっています。韓国では「ゴミ屋敷(スレギ・チプ)」という言葉がメディアで頻繁に使われ、若年層から高齢者まで幅広い世代でこの問題が発生しています。若者の場合、就職難や過酷な受験競争による燃え尽き症候群、あるいは非正規雇用による経済的不安から、セルフネグレクトに陥り、食い散らかした出前(ペダル)の容器が山積みになるケースが目立ちます。韓国は世界屈指のデリバリー大国であり、スマートフォン一つで24時間いつでも食事が届く便利さが、皮肉にもゴミ屋敷化を加速させる要因となっています。一方で、高齢者のゴミ屋敷は、経済発展から取り残された層の貧困と孤独が原因であることが多く、廃品回収を生活の糧としている人が、自宅にも拾ってきた物を溜め込んでしまうケースが散見されます。韓国の行政は、ゴミ屋敷対策に対して非常に迅速でパワフルな介入を行うことがあります。自治体がボランティア団体や清掃業者と連携し、一日で数トンのゴミを運び出し、壁紙の張り替えから消毒までを一気に行う「住居改善事業」が各地で展開されています。しかし、韓国の専門家からは、こうした表面的な解決だけでは、住人の精神的な問題が置き去りにされ、すぐに再発してしまうという警告も発せられています。儒教的な家族観が根強く残る韓国において、ゴミ屋敷化は「家門の恥」として隠蔽されがちですが、最近ではテレビ番組での特集やSNSを通じた情報共有により、オープンに解決を図ろうとする動きも出てきました。格差の拡大と孤独な単身世帯の増加という、日本と非常に似通った課題を抱える韓国の状況は、東アジア全体が直面している都市型ゴミ屋敷問題の縮図と言えるでしょう。