アメリカ社会に深く根付いている「ガレージセール」や「フリーマーケット」の文化は、リサイクルやコミュニティの活性化に寄与する一方で、皮肉にもゴミ屋敷(ホーディング)を助長する一因となっている側面があります。アメリカの多くの家庭では、週末になると自宅のガレージや庭を使って不要品を安価で販売しますが、この文化は「安く手に入れる喜び」を極大化させます。ホーディング障害の傾向がある人々にとって、ガレージセールは宝探しの場であり、本来不要なものであっても「たった1ドルだから」「将来何かに使えるから」という理由で購入を正当化させ、結果として家の中に新たな物が流入し続けることになります。アメリカのゴミ屋敷の中身を見ると、ガレージセールやリサイクルショップ(スリフトショップ)で購入したタグ付きのままの商品が山のように出てくることが珍しくありません。これは、物を購入する瞬間のドーパミン放出による快感が、実際の使用目的を上回ってしまっている状態です。アメリカのカウンセラーたちは、こうした患者に対し、まず「流入を止める(Stop the Flow)」ための行動療法を導入します。また、アメリカではクリスマスの時期などに過剰なまでのギフトを贈り合う習慣があり、これもまた「捨てられない贈り物」を蓄積させる要因となります。さらに、広大なガレージや地下室、屋根裏部屋といった収納スペースの多さが、問題の表面化を遅らせ、気づいた時には自力での解決が不可能なレベルまで悪化させてしまいます。近年では、アメリカでもミニマリズムの影響が広がっていますが、依然として「豊かさ=物の所有」という価値観は根強く、ゴミ屋敷問題の根深さを象徴しています。アメリカの事例は、消費社会のポジティブな側面であるはずの二次流通文化が、個人の精神的な脆弱性と結びついたとき、いかにして生活を破壊する要因になり得るかという重要な教訓を教えてくれます。