カナダにおいてゴミ屋敷問題は、都市部だけでなく広大な田舎町でも発生しており、その深刻さは厳しい冬の気候と密接に関係しています。カナダのゴミ屋敷の特徴の一つは、屋外に放置された大量の不用品です。古い農機具、壊れたボート、複数の故障車などが庭を埋め尽くすケースが多く、これらは「農村型ホーディング」と呼ばれます。しかし、最も危険なのは屋内のゴミ屋敷です。カナダの冬は極寒であり、暖房設備が不可欠ですが、ゴミ屋敷の状態では暖房器具の周りに可燃物が密集し、火災の発生率が極めて高くなります。また、ゴミで窓やドアが塞がれている場合、火災時の脱出が不可能になるだけでなく、消防隊による救助活動も困難を極めます。カナダの自治体では、消防局がゴミ屋敷対策の主導権を握ることが多く、定期的な安全点検を通じて、火災リスクの高い住居を特定しています。カナダの福祉制度では、ホーディングを精神疾患の一つとして明確に位置づけており、州政府が多額の予算を投じて、専門の介入チームを編成しています。このチームには、片付けの専門家だけでなく、セラピスト、看護師、そして住人が飼っている動物を保護するための愛護団体のスタッフも含まれることがあります。カナダは多民族国家であり、移民一世の高齢者が、過去の戦争や貧困の経験から物を溜め込んでしまうケースも多く、それぞれの文化的背景に配慮した言語対応や支援が必要とされています。また、カナダの広い家では、一部の部屋がゴミで埋まっていても生活が継続できてしまうため、問題の発覚が遅れる傾向があります。最近では、地域のコミュニティセンターが中心となって、不用品の交換会や寄付を募ることで、物を捨てることに対する罪悪感を減らし、健全な循環を促す試みも行われています。広大な国土を持つカナダであっても、個人の心の内に閉じ込められたゴミ屋敷という問題は、物理的な距離を超えて、社会全体の連帯を求めているのです。
カナダの広大な大地に潜むゴミ屋敷と厳しい気候の影響